印刷工場で三十年以上働いて来た私は、ある日、占い師に手相をみてもらう。スリッターという機械の鋭利な刃先が手のひらを切り刻み、皮膚の傷に浸透した印刷機の塗料で自然と緑色になっている手。占い師は「迷わずこのまま道を進むべし。福来たる」と、まるでおみくじでも引いたかのような口振りで、緑色の手については三十分間何も語らなかった。孫娘は緑色のごわごわした私の手のひらを、いつからともなく「ヤツデちゃん」と呼ぶようになって、そんな私の小指を掴んで放さなくなっていた。

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ジャンル

文芸

作家

古川卓也

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最終更新日

2021年11月25日 19時58分

掲載日

2021年11月19日 13時07分

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