場面緘黙《ばめんかんもく》という言葉を知っているだろうか。身体のどこにも異常はないのに、口から言葉を発せられない、心の病気のことだ。
 僕も小学生のころから、家族以外とは一言もしゃべれずにいた。

 ただ、高校で「あいき」という同級生の少女と出会ってから、僕の日常のすべてが変わった。
 君が話しかけてくれるたび、筆談でしかコミュニケーションがとれない僕は戸惑う。

 しかし、色を失った僕の世界は、再びその色を取り戻していった。
 些細なきっかけから始まった、君との『交換日記』という、新しいツールによって。

 そして……。

 ――私の体の病気と君の心の病気、どっちが先に治るか競争しよう。

 その言葉に、僕は大きな意味を見出したんだ。


 7月20日、手記より。



※本作は、【第34回前期富士見ファンタジア大賞】の一次・二次選考通過作品を加筆・修正したものとなっています。

リンク切れ申請
(※掲載サイトで削除されている場合こちらから申請ください。)

ジャンル

恋愛

作家

橘樹 啓人

キーワード
ブックマーク登録

2

文字数

109,797

評価pt

14

最終更新日

2021年06月19日 20時08分

掲載日

2021年04月21日 16時00分

この作家の更新小説